オキシトシンと睡眠の関係性

飼っている犬と触れ合うと、幸せホルモンが出るというのを聞いたことはありませんか。実はこれ、オキシトシンというホルモンが分泌されることによって幸福感が得られることが理由と考えられています。

幸福感が得られるオキシトシンとは、一体どのようなホルモンなのでしょうか。睡眠との関係性とともに詳しくご紹介します。

オキシトシンとは

オキシトシンとは、リラックス効果が期待できるホルモンです。
幸せな気分にさせることから、幸せホルモン、愛情ホルモンとも呼ばれています。医学的には女性の出産に関わるもので、分娩や授乳など、母子関係において重要なホルモンとなります。

オキシトシンが分泌されるのは我が子だけではありません。
愛情を抱く相手、例えば夫婦や恋人、ペット、また仲の良い友達などといったリラックスできる相手も対象となる場合があります。

ここまでを見ると、女性だけにしか分泌されないホルモンかと思われるでしょうが、近年の研究で、オキシトシンは男性にも分泌されることがわかってきました。

ホルモンは人間の体内で、神経伝達物質としての働きを担っています。
体内にはたくさんの器官がありますが、ホルモンはその中でも末梢組織に位置づけられ、臓器を動かしたり筋肉の収縮などにおいての調節機能の役割をもちます。

その役割の一つに、ストレスを感じたとき、それに対抗するようにオキシトシンを分泌するというものがあります。つまり、オキシトシンが分泌されることで、ストレスが緩和される効果が期待できるのです。

その他にも、相手への信頼感が増す、社交性や好奇心が生まれる、不安や恐怖心が薄れる、学習意欲が高まるなど、心の安定を計り、意欲的な感情へと導いてくれます。

ストレスが緩和されてリラックスすると、それは催眠作用にもなります。
脳内の興奮状態が落ち着くことで、体だけではなく、心も安定するのです。

通常ストレスを感じると自律神経の交感神経が優位になり、過度な興奮状態や緊張状態が続きます。しかしオキシトシンが分泌されていると脳はストレスに対して鈍感になり、心身が休息する副交感神経優位の状態になることがわかっています。

現在、日本人の多くが睡眠による悩みを抱えていると言われていますが、その解消を目指すにあたってオキシトシンの分泌はとても重要なポイントと考えられています。

オキシトシンと睡眠の関係性は、リラックス効果だけではありません。
他にもセロトニンやメラトニンなど、睡眠に深く関係するホルモンにも影響を与えることがわかっています。

メラトニンとは睡眠ホルモンとも呼ばれ、自然な眠りを誘う役割を持ち、体内時計に作用して分泌される特徴があります。セロトニンは脳神経伝達物質で、脳内での神経活動のバランスを保つほか、心の安定のためにも欠かせないホルモンです。

分泌量が減少すると攻撃的になったり疲れやすくなったり、眠りに入りづらいなどの症状が表れるようになります。オキシトシンの分泌量が増えるとセロトニンの分泌量が増えることがわかっていて、更にセロトニンから合成されるメラトニンの分泌量の増加にも繋がります。寝つきや朝の目覚め、熟睡できているかなど、睡眠の質を高めるのにも、オキシトシンは有効なのです。

幸せな気持ちになれる、質の良い睡眠がとれるようになるなど、いい事尽くしのオキシトシンですが、分泌量を増やすにはどうしたら良いのでしょうか。もっとも効果的なのは、信頼できる相手と会話をしたりスキンシップをとったり、一緒に寝ることだと言われています。

お互いが信愛しあえる関係の人とと肌を触れ合わせることは、満足感や安心感、充実感に繋がり、オキシトシンの分泌量の増加にも役立つでしょう。日中に感じたストレスが緩和されたり、質の良い睡眠をとることに繋がります。

一人で寝ている場合は犬や猫などのペット、抱き枕、ぬいぐるみなどの安心できるものがあると、十分な効果が得られますよ。オキシトシンはセロトニンと相互関係にあるため、どちらかの分泌量が増えるともう一方も増えると言われています。

そのため、朝日を浴びる、腹式呼吸を行うなど、セロトニンの活性化を促す方法を取り入れるのもおすすめです。朝や夕方にウォーキングや軽めのランニング、スイミングなどのリズム運動を30分ほど行うのも効果的です。

オキシトシンは幸せを感じられるホルモンであること、質の良い睡眠に欠かせないホルモンであることが分かりましたね。ストレスや疲れを感じると自律神経が乱れて交感神経が優位になるため、イライラや不安感が募っていきがちです。

今後は敢えて、オキシトシンを増やすことを実践してみてはいかがでしょうか。信頼できる人との会話、スキンシップ、規則正しい生活を心掛けることで、ストレスが緩和され、質の良い睡眠がとれるようになるでしょう。ストレスを受ける、イライラする、睡眠不足になる、不眠症という悪循環に陥るのを防ぎ、前向きな気持ちで日々を過ごせるようになるでしょう。




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