起立性調節障害の原因と症状を教えます

朝スッキリ起きられない、倦怠感が強く午前中の活動が辛い、めまいや立ちくらみが起きやすい。

しかし午後になるとこれらの症状が回復して、夜遅くまで寝られずに起きていてしまう。このような症状にお悩みではありませんか。

一見夜更かしが原因で日中の活動に支障を来していると考えがちですが、実は起立性調節障害という病気である可能性が高いのです。
子供から大人まで、誰しもがなりうる起立性調節障害についてご説明します。

起立性調節障害の原因について

起立性調節障害とは、自律神経のバランスが崩れることが原因で起こる病気といわれています。

精神的なことが大きく関係して症状を発症する自律神経失調症の一種と考えられていて、脳の血流が少なくなることで思考力や判断力の低下を招きます。

自律神経が乱れると、体内の様々な臓器に悪影響を及ぼしますが、循環器もその一つなのです。立ち上がった際に血圧が低下する、運動をしていなくても心拍数が上昇するなど、血流の調節に時間がかかってしまいます。

これが原因で、立ちくらみやめまい、起立時の気分の悪さ、動悸・息切れ、疲れやすいといった症状が表れます。また顔が青白くなる、食欲不振、頭痛・腹痛などの症状も併せて表れることも少なくありません。

自立神経の働きは?

起立性調節障害の原因となる自律神経とは、どのような働きをする神経なのでしょうか?

自律神経とは、心臓や血圧、体温、汗、呼吸などの調整に関する重要な神経です。交感神経と副交感神経から成る自律神経は、それぞれが反対の作用をすることで正常な働きを保つ事ができます。

自律神経のバランスが崩れるというのは、つまり交感神経と副交感神経のバランスが崩れるということなのです。24時間周期で活動する自律神経は、早朝からは交感神経が活動して身体を活性化させ、夜になるにつれて副交感神経の活動が高まって、身体を休息させます。

しかし、自律神経が乱れて起立性調節障害になると、交感神経の活動が5時間以上後にずれ込みます。

そのため、午前中に身体が休息している状態となり、夜になっても交感神経の活動が治まらずに寝つきが悪くなるという、悪循環が引き起こされるのです。

どんな環境で発症するのか?

起立性調節障害は子供から大人まで、年齢や生活スタイル、環境に関係なく発症する病気です。

特に小学校高学年から中学生の思春期に多くみられ、全体の5~10%に発症し、健常な子供でもなりうる可能性があります。この時期は第二次性微期と呼ばれ、体や心が徐々に大人へと変化していく時期でもあります。

自律神経が変化していく時期とも重なるため、循環器系の調整に支障を来すことも少なくありません。急激な体の成長に伴う変化や、人間関係においての悩みなど、心理的・身体的要因が原因となることが多いようです。
仕事をしている大人も、症状は似ています。

出勤しなければならないのに朝起きられない、通勤時に立ちくらみがする、疲れやすく何もやる気が起きないといった精神的・身体的症状が表れるでしょう。

十分な睡眠がとれていない事で起立性低血圧になる、ストレスや環境的要素によって自律神経のバランスが崩れることが原因と考えられます。

起立性調節障害の予防と改善

起立性調節障害は体の病気です。病院では、めまいや立ちくらみ、午前と午後での体調の変化、血圧の検査をするなどして診断してくれます。
しかし、明確な治療法は確立されていません。

重症の場合は症状に合わせた薬を処方しますが、それはあくまで症状を抑えるものであり、改善するものではないということです。一般的には、血液量を増やすために水分摂取量を増やす、血液を全身へ送る役割を持つ下肢筋肉を活性化させるための運動の推進など、生活上の指導しかされません。

では、起立性調節障害を予防・改善するためには、どうしたらよいのでしょう。自律神経は、自分の意志ではコントロールすることができない神経です。

そのため、自律神経のバランスを整える生活習慣を心掛けることが重要となります。例えば、ウォーキングや正しい食生活などの一般療法によって、質の良い睡眠を目指すことです。

起き上がりをゆっくり動くのを意識したり、血流を良くするために水分と塩分の摂取量を改めたり、日中に積極的に日差しを浴びるのも良いでしょう。

精神的な要因を軽減するための心理療法も効果的です。
起立性調節障害を病気であると認め、苦痛を理解してあげましょう。
午前中は登校できないけれど午後の部活なら頑張れている、出社時間をずらして変わらず仕事ができているなど、症状があっても充実した生活が出来ていると自覚するのも大切なのです。

起立性調節障害は、心理的ストレス、季節の変わり目、環境の変化などが原因であり、誰しもが患う可能性のある病気です。症状に悩む人たちは決して怠けているわけではなく、その症状に苦しんでいます。

親や周囲がその苦痛を理解し、認めてあげることが改善への一歩となります。心理的ケアに取り組むとともに、自律神経を整える生活習慣を心掛け、症状緩和を目指しましょう。




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